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オペラを楽しむ

『午後の曳航』の振付師 avecoo(アベコー)さんが挑む新しいダンスシーン

一流プロダンサーとして、また数々の著名アーティストのミュージックビデオの振付や
ライブ演出なども手がけ、ダンス業界で名を馳せるavecooさんが、
初めて挑むオペラ作品への抱負を語ります。

安室奈美恵さんのコンサートを機に、ダンサーに憧れ、15歳で単身上京。その行動力と向上心で自らの道を開き、いまやダンス業界で知らない人はいないと言われるほどマルチな才能を発揮するavecooさん。今回、オペラに関わることになった経緯とは。

「知人を介して、亞門さんから直接お電話をいただいて、二人でMETライブビューイングに行ったのです。オペラの世界は富裕層のイメージが強く、自分とは縁がないものだと思っていたのですが、その作品はダンサーの使い方が斬新でおもしろかった。日本のダンスシーンにはないスタイルで、興味がわきました。オペラに対して固定観念がない分、定説にとらわれず自由に。知識を得たり、調べたりすると考えすぎてしまうので、あえてやめようかなと。亞門さんの演出の意図を自分なりの解釈で、所感を信じて、新しい日本のオペラの形を作りたいと、ワクワクしています」。

三島由紀夫の長編小説を原作とした本作品で、重要な役割を担うのがオーディションで選ばれた12名のダンサーだ。

「歌手がいる中ではダンサーはあまり目立たせないようにしますが、今回は場面場面で存在感も。オーディションでは、個性とチームワークを重点に審査しました。曲が難解でカウントが取りづらくて。自分でも一瞬わからなくなってしまって(笑)、おかげでみんな打ち解けて、和みました。選んだダンサーは、バレエ、ジャズ、ヒップホップとジャンルはバラバラです。ユニゾンはあるけれど、個々のよさを引き出し、輝けるようにと考えています。それが、この作品の見どころのひとつです。各ダンサーはもちろん、若い客層にとっても刺激になるような。オペラの枠をぶち壊す、そんな意識で挑戦します」。

もともとバッドエンドがとても好きで、考えさせる作品に惹かれると語るavecooさんは、本作の少年たちのうぶな気持ちがきれいだと感じているそう。汚しているのは周囲の大人や環境。残酷性を帯びた中で、彼らの純粋で繊細な心をいかにダンスで表現できるか。乞うご期待!

注目の出演ダンサー 12名 池上たっくん 石山一輝 岩下貴史 後藤裕磨 澤村亮 高間淳平 巽 imustat 中内天摩 中島祐太 パトリック・アキラ 丸山岳人 山本紫遠

avecoo

プロダンサー・振付師・演出家

山口県出身。中学卒業後、単身上京。東京デザイナー学院プロダンサー科に入学し、多ジャンルのダンスを習得。L.A.に留学し、研鑽を積む。日本最大級のダンスコンテスト「Legendtokyo」で7代目レジェンドの栄冠をつかむ。安室奈美恵、浜崎あゆみ、平井堅などの振付やライブ演出、ダンスインストラクターなど幅広く活動。

東京二期会オペラ劇場
ヘンツェ 『午後の曳航』

オペラ全2幕
日本語字幕付原語(ドイツ語)上演
指揮:アレホ・ペレス
演出:宮本亞門
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団日生劇場

2023年11月 23日(木・祝)17:00
24日(金)14:00
25日(土)14:00
26日(日)14:00