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オペラを楽しむ

2022 グランドオペラフェスティバル in Japan 鳥取、大分、大阪、山形 いよいよ4都市へ モーツァルト「フィガロの結婚」 文化庁アートキャラバン事業のひとつ、4都市で上演される二期会オペラ『フィガロの結婚』が今年10月から始まります。公演に際して、4人のキーパーソンにコメントをいただきました。

全公演:【演出】宮本亞門(みやもと・あもん)

 私が2002年に東京二期会で初めて演出したオペラ『フィガロの結婚』は初演以来、数えきれないほど多くのお客様に好評をいただき、数年ごとに再演を重ね、ついに皆様の街へ参上いたします。

 またこの作品は、今見ても単なる古典名作を越え、格差が広がる社会に大切な警笛を鳴らし、誰もが平等に、お互いを許し愛しあうという素晴らしいテーマと共に、必ずや皆さんを幸せの世界に導きます。

 オペラ『フィガロの結婚』は一度聞いたら忘れることの出来ない名曲だらけで、今までオペラを見たことがある方はもちろん、オペラを見たことがない方、また初めて見る方にも超お勧め。どうぞ、ぜひ劇場でモーツァルトの絶大な人類愛を味わってください。そして豪華な生オーケストラの演奏と名歌手たちによる身震いするほどの美しいアリアで、オペラの魅力を存分に感じてください。

 この秋はオペラでは珍しく、鳥取、大分、堺、山形に巡演いたします。私の大好きな場所で初めて私の演出の舞台を見ていただけることに心から興奮します!

 これを機会にぜひオペラを観に劇場へ足をお運びください。そして人生で忘れることのないひとときをどうぞお楽しみくださいませ。

宮本亞門

大阪、山形公演:【指揮】阪 哲朗(ばん・てつろう)

 あらゆるオペラ作品の中でも、戯曲、音楽ともに筆頭の完成度を誇り、モーツァルトの代表作である『フィガロの結婚』〜僕の大好きなオペラです。今さら、この有名な作品にコメントを付け加えるのは野暮というものですが、せっかくなので少しだけ。

 ノーカット上演の場合、約4時間にも及ぶ大作ですが、簡単に言えばチーム・フィガロ&スザンナ(のちにもっと膨らむが)が伯爵を、つまり平民が貴族を負かす話です。

 先の『セビリャの理髪師』では大活躍を見せたフィガロでしたが、今回は空回りに終わります。それに対して、フィガロの許嫁(いいなずけ)スザンナの機知に富んだ活躍ぶりは冴えに冴え、伯爵もフィガロも結局スザンナには徹底的にしてやられます。女性陣(スザンナ、伯爵夫人)が男性陣(フィガロ、伯爵)を負かす話だとも言えます。

 ほかにも沢山あると思いますが、このように作品が時空を越えて多種多様な切り口をもつ点はまさに天才たちの作品。後世の我々としては、ダ・ポンテとモーツァルトの奇跡の仕事に感謝するしかありません。

阪 哲朗

©Florian Hammerich

鳥取公演:【指揮】角田鋼亮(つのだ・こうすけ)

 私が大学4年生の頃、二期会創立50周年の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の通し稽古を見学させていただく時がありました。初めて伺う巨大なオペラスタジオ。その隅々まで響き渡る皆さんの声。圧倒され、一気にオペラの魅力に取り憑かれました。

 東京二期会ではその後、『ばらの騎士』からドイツオペラの音楽アシスタントとして沢山の公演に関わらせて頂き、昨年は演奏会形式の公演で初めて本指揮者を務めました。そしてこの秋、『フィガロの結婚』で完全なるオペラ公演での共演をさせていただきます。

 様々な人間の生き方、愛と人生訓に溢れたこの作品を、素晴らしい歌手の皆様とご一緒でき、光栄です。さて、この『フィガロの結婚』。あの見学の日のすぐ後、自分で企画して上演した思い出の作品です。

角田鋼亮

©Hikaru Hoshi

大分公演:【指揮】川瀬賢太郎(かわせ・けんたろう)

 『フィガロの結婚』は“今”に必要なオペラです。今年の2月、僕は宮本亞門さんが演出した『フィガロの結婚』を指揮しました。改めて計算し尽くされたモーツァルトの音楽とダ・ポンテの言葉のチョイスに僕は指揮をしながらひとりで感動していました。

 さて、冒頭で僕は「『フィガロの結婚』は今に必要なオペラ」と偉そうな事を言ってのけました。このオペラは冒頭フィガロがイタリア語で「Si(Yes)」と言ってから最後、伯爵夫人が「Si」と言うまで「No」の世界が繰り広げられます。どんな登場人物も「No」としか口にしません。すなわち「拒絶」や「否定」の世界が繰り広げられるのです。そんななか、最後に伯爵夫人が「Si」と言います。「No」の世界で「Si」と言える伯爵夫人は凄い人物なのです。今の世の中はどうでしょう? 我々が住む現在も否定や拒絶であふれていないでしょうか? あなたにはそんな世界で「Si」と言う勇気は…? 恨むことでもなく、復讐することでもなく、全てを受け入れて許す勇気がありますか?少なくとも僕は『フィガロの結婚』はそういうオペラだと思います。

 さあ、モーツァルトとダ・ポンテが現在に残してくれた偉大なるメッセージを受け取りに来て下さい!!

川瀬賢太郎

©Yoshinori Kurosawa

2022グランドオペラフェスティバル in Japan
二期会オペラ

モーツァルト『フィガロの結婚』

オペラ全4幕 日本語字幕付原語(イタリア語)上演 演出:宮本亞門 合唱:二期会合唱団

[鳥取公演]
2022年10月15日(土)13:00
とりぎん文化会館 梨花ホール
指揮:角田鋼亮
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

[大分公演]
2022年10月23日(日)13:00
iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
指揮:川瀬賢太郎
管弦楽:日本センチュリー交響楽団

[大阪公演]
2023年1月22日(日)14:00
フェニーチェ堺 大ホール
指揮:阪哲朗
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団

[山形公演]
2023年1月28日(土)14:00
やまぎん県民ホール 大ホール
指揮:阪哲朗
管弦楽:山形交響楽団

2016年東京二期会オペラ劇場
『フィガロの結婚』より。
©三枝近志