抱腹絶倒の楽しいオペレッタ『天国と地獄』が11月に上演されます。
二期会としては通算5度目、2019年以来となるこの舞台ですが、今回はこの作品について、3つのトピックスをご紹介します。
原作はあの有名な悲しいギリシャ神話
オペレッタ『天国と地獄』は、ギリシャ神話のオルフェウスとエウリュディケの物語をオッフェンバックがパロディ化したもの。同じ材を得た作品としては、オペラ黎明期にモンテヴェルディによって作られた『オルフェオ』やグルック『オルフェオとエウリディーチェ』もよく知られています。
物語は吟遊詩人オルフェウス(オルフェ)が、毒蛇にかまれて死んだ妻エウリュディケ(ユリディス)を取り戻すため冥府の王に直談判。得意の竪琴を奏で「冥界から出るまで後ろを振り返って見てはいけない」という条件で戻してもらうことに。しかし、あと少しというところで振り返り、永遠の別れに…。さてこの悲話をオッフェンバックは、どのような喜歌劇にしているのでしょうか。乞うご期待です。
原作はギリシャ神話。竪琴の名手で吟遊詩人、オルフェウスの悲しい物語が原作。
CMでもおなじみ。誰もが知ってる劇中曲
オペレッタ『天国と地獄』の代名詞と言っても過言ではない、フィナーレ近くで演奏されるギャロップ風の曲。昔はフレンチカンカンや、無声映画にもよく使われ、古今東西、一世を風靡したメロディとして知られています。サン=サーンスは『動物の謝肉祭』の中で、このメロディをゆっくり演奏する「かめ」という曲を作曲しています。
日本でも「誰もが知っているクラシック曲」のひとつではないでしょうか? 急き立てるような音楽は運動会の徒競走でもおなじみです。また、1960年代から放映された子グマのぬいぐるみがカンカンダンスをして「カステラ一番…、電話は二番…」と歌う人気CMで記憶に残っている方も多いはずです。実際どのような場面で使われているのか、ぜひ、会場に足を運んで、ご覧ください。
イラスト:椋本サトコ
この曲を一躍有名にした、おなじみのカステラのCM。NHKのテレビ番組に出演していたオーストラリア人夫妻のぬいぐるみショーから着想を得て作られたそうです。
二期会過去上演では国民的タレントが演出
1858年パリで初演された『地獄のオルフェ』。日本では1914(大正3)年東京・帝国劇場で初演されて以来、『天国と地獄』のタイトルで親しまれています。
二期会としては1981(昭和56)年に初演、注目は演出チームです。小説では直木賞、数々のヒット曲の作詞によって日本レコード大賞を3度も受賞したなかにし礼さん、そして、萩本欽一さんこと、欽ちゃんの名前が。当時のお話を聞くと「よく覚えていますよ。(当時、オペラに限らず幅広いタレント活動をしていた、ジュピター役の)立川清登さんから直接頼まれました。なかにしさんは音楽の部分、僕はコメディ部分の演出をしました」。国民的な作詞家とコメディアンを巻き込んでの二期会初演となりました。
萩本欽一さん
1981年の二期会初演より。立川清登、島田祐子、斉藤昌子など、オペラ以外でも広く活躍した歌手が数多く出演。
オッフェンバック
『天国と地獄』
オペレッタ全2幕
日本語訳詞原語上演
(歌唱部分日本語字幕付)
指揮:原田慶太楼
演出:鵜山仁
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
日生劇場
2022年11月 | 23日(水・祝)17:00 24日(木)14:00 26日(土)14:00 27日(日)14:00 |