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オペラを楽しむ

『エドガール』『蝶々夫人』の指揮者 アンドレア・バッティストーニさん

東京二期会で4月『エドガール』と9月『蝶々夫人』を指揮する予定のアンドレア・バッティストーニさん。クラシックやオペラに造詣が深い湯山玲子さんにも、彼の魅力についてうかがいました。

編集協力:東京フィルハーモニー交響楽団  構成:田中庸子

世界が注目する若きマエストロ

1987年生まれ、イタリア出身のアンドレア・バッティストーニさんは、早くから国際的に活躍の場を広げ、同世代の中で最も注目される指揮者のひとりです。2013年にはジェノヴァのカルロ・フェリーチェ劇場の第一客演指揮者に就任。これまでミラノ・スカラ座、ベルリン・ドイツ・オペラ、スウェーデン王立歌劇場、バイエルン州立歌劇場、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団等、世界中の名だたる歌劇場やオーケストラでの出演を重ねてきました。

記念すべき日本デビューとなった東京二期会『ナブッコ』や東京フィルとの「ローマ三部作」では、当時まだ20代半ばだった彼のカリスマと繊細な音楽性が客席に大きな衝撃を与えました。16年からは今回の東京二期会公演でもコンビを組む、東京フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者も務めています。東京二期会では、このほか『リゴレット』『イル・トロヴァトーレ』「レクイエム」、グランドオペラ共同制作『アイーダ』等、定評あるヴェルディ作品で成功を重ね、19年に宮本亞門演出『蝶々夫人』でプッチーニ作品を初披露しています。

東京フィル首席指揮者も務め、日本にもファンが多い。ⓒ上野隆文/東京フィル

Message

私を最初に日本に招聘してくださった東京二期会には、いつも感謝しています。2012年以来、日本の多くの才能豊かなアーティストや音楽家と協働する可能性を私に開いてくださいました。私たちの関係は、とても深い芸術的な絆へと発展しています。ご一緒した多くのオペラ公演、演奏会が、私の記憶の中で大切な宝物となっています。東京二期会の歌手、合唱団、そして献身的なスタッフの方と協働し、力の限り、最高にスリリングでワクワクするオペラを聴衆の皆様にお届けすることを楽しみにしています。

心より感謝を込めて
アンドレア・バッティストーニ

クラシック音楽を題材にしたトーク&リスニングイベント〈爆クラ〉主宰
湯山玲子さんが語る、バッティストーニさん

私が主宰する〈爆クラ〉のプロデュース公演で、世界的なDJ/プロデューサーのジェフ・ミルズの交響組曲『Planets』を、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏でバッティストーニに振ってもらったことがあります。この楽曲、なにせ、舞台上の電子機材とオケとを同期する必要があり、指揮者はイヤーモニターがマスト。クラシックの指揮者には不快ともいえるスタイルですが、彼は頓着せず、作曲家が欲求する「音響化した生オケのサウンド」の重層的かつ繊細なテクスチャーを現実化し、宇宙的な空間と時間を創り上げてくれたそのセンスと音楽性に脱帽でしたね。

〈爆クラ〉ではゲスト出演もしてもらいましたが、印象的だったのは、そのオタク的なCD聞き込みの蓄積。楽曲の時代背景などにも当たり、その知識の上に自分の音楽を構築、解放していくタイプ。

判断も早いし、その基準がプロデューサー的観点も含めてたくさんあるという感じを受けたものです。アイヌの民族音楽に対して、すぐに伊福部昭の名前が出てくる、耳の良さにもびっくりでした。

こんな彼が振る公演は、今からとても楽しみです。

湯山 玲子
Reiko Yuyama

学習院大学法学部卒業。著述家、プロデューサー。著作に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(角川文庫)、上野千鶴子との対談集『快楽上等!3.11以降の生き方』(幻冬舎)。『文化系女子という生き方』(大和書房)、『男をこじらせる前に』(角川文庫)等。T V コメンテーターとして、TBS『新・情報7DAYS ニュースキャスター』等に出演。ファッションブランド〈OJOU〉のデザイナー・プロデューサーとしても活動中。日本大学藝術学部文芸学科非常勤講師。東京家政大学非常勤講師。名古屋芸術大学特別客員教授。(有)ホウ71取締役。父は作曲家の湯山昭氏。

アンドレア・バッティストーニ指揮によるプッチーニ作品公演情報

東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ『エドガール』

オペラ全3幕 日本語字幕付原語(イタリア語)上演
合唱:二期会合唱団 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
Bunkamura オーチャードホール 2022年4月23日(土)17:00、24日(日)14:00

東京二期会オペラ劇場『蝶々夫人』

オペラ全3幕 日本語字幕付原語(イタリア語)上演 演出:栗山昌良
合唱:二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場 オペラパレス 2022年9月8日(木)18:30、9日(金)14:00、10日(土)14:00、11日(日)14:00

九州交響楽団第406回定期演奏会

『外套』 (演奏会形式)

合唱:九響合唱団 管弦楽:九州交響楽団
福岡サンパレス ホテル&ホール 2022年8月26日(金)19:00