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オペラを楽しむ

2019年東京二期会オペラ劇場『蝶々夫人』より。演出は宮本亞門、衣裳は髙田賢三
が担当した。東京二期会初の東京発ワールドプレミエ。© 三枝近志

 東京二期会にとって2019年は、ひとつの大きな転機の年でした。創設以来、海外での初公演、海外の劇場との共同制作と〝日本のオペラ〟の地位向上に貢献してきた二期会は、この年の10月、満を持して『蝶々夫人』で、日本発信の国際的なプロダクションを上演することになりました。これは文化庁の戦略的芸術文化創造推進事業を後ろ盾に構想されたもので、『魔笛』や『金閣寺』、現代オペラ作品など、海外の劇場ですでに高い評価を得ていた宮本亞門が演出を担当。当初は、ドイツのザクセン州立歌劇場(ゼンパーオーパー・ドレスデン)との共同制作の予定でしたが、世界的有名デザイナー、髙田賢三が衣裳を担当することも前評判となり、蓋を開ければデンマーク王立歌劇場、サンフランシスコ歌劇場も含め4カ国との共同制作となりました。翌2020年に髙田氏は惜しくも逝去し、この『蝶々夫人』の衣裳は氏の遺芳となりました。

 また指揮者には、来年4月の『エドガール』で二期会デビュー10周年を飾る若きマエストロ、アンドレア・バッティストーニを起用しました。その他のスタッフに目を向けると、ポーランド人の装置デザイナーと映像デザイナー、オランダ人の照明デザイナーと、大変インターナショナルな布陣でした。

 この『蝶々夫人』、来年4月には、ドレスデンでのヨーロッパプレミエを予定、その後サンフランシスコ、コペンハーゲンと、共同制作先での上演が続いていきます。

 東京二期会ではこの公演の成功を皮切りに日本発信のワールドプレミエを次々に発表。今年7月にはカロリーネ・グルーバーの演出による『ルル』が好評を博し、来年2月にはボン歌劇場との共同制作で、コンヴィチュニーの演出による『影のない女』が予定されています。

 2022年、創立70周年を迎える二期会は、今後も日本が世界の劇場と肩を並べ、そして主導的に発信する優れたオペラを積極的に上演していきます。そして立ち止まることなく、80周年、 90周年、そして100周年と続く未来に、邁進してまいります。