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オペラを楽しむ

二期会70周年特別企画 『こうもり』で二期会公演に登場 森 公美子 「いつも私らしく」©Kota Someya

ミュージカルからバラエティ番組まで多方面で活躍中の森公美子さんが、修業時代を過ごした二期会の舞台に出演します。
ご自身のキャリアや今回の役柄について話を伺いました。

帝国劇場で初主演を務めたミュージカルは連日完売の大ヒットとなった。『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト』 写真提供:東宝演劇部 

オペラからミュージカルへ

 中学生時代にサラ・ヴォーンのライブを観て歌手になりたいと思ったという森さんは、大学で声楽を学び、卒業後に二期会オペラスタジオ(現 二期会オペラ研修所)に入所した。理想の声と歌を追求していたというが、明るいキャラクターはそのままだったようだ。「よく替え歌や先生の顔マネを披露しては笑いを取っていました(笑)」。
 しかし研究生時代に「スカラ座の舞台に立ちたい」と留学したミラノで、森さんは大きな挫折感を味わう。「毎日、時間に追われてオーディションやレッスンに励んでいたのですが、同級生は子どもの頃からオペラに親しんできた子たちですし、讃美歌や民謡も生活の中にあるもの。これは無理じゃないかって。何より自分が楽しめていなかったんです」。

 語学学校などをすべてやめて出かけた旅の途中で、森さんはミュージカルに出合う。「ロンドンのウエストエンドで『マイ・フェア・レディ』を観たんですが、出演者がみんなすごくいい笑顔だった。『これ、私に合ってるんじゃない?』って思いました」。

 帰国後すぐ、二期会オペラスタジオの先生の推薦で出演したミュージカルをきっかけに、森さんは舞台にテレビにと進出し大活躍していくことになる。「自分を楽しめば楽しむほど、どんどん可能性が広がっていったんです。自分の可能性は想像以上のものなんだって、いつも周りの方たちが教えてくれる感じでしたね」。

悪役もとことん楽しんで演じる。『レ・ミゼラブル』 写真提供:東宝演劇部

二期会オペラスタジオ時代の森さん(左)。

歌の力、舞台の歓び

 コロナ禍の中でも、森さんはミュージカルなどの舞台に出演し続けてきた。「観劇するにも少し覚悟も必要ですよね。でも毎回満席ですし、上演中に泣いていらっしゃる方も多いです。歌舞音曲は(非常時には)必要ないものと思われがちですが、人の声や音楽には凝り固まった心をほぐしてくれる力があって、それを求めて来てくださっている。素敵だなと思います。また、舞台や音楽は一期一会のお客様と一緒に作り上げるものだということを、とても感じるようになりましたね」。

 11月の『こうもり』公演では、数々の名優が演じてきた看守フロッシュ役に挑む。「本当は男性がやる役なんですが、今回は私がやるのでフロッシュおばちゃんです(笑)。下世話なおばちゃんになるか上品になるか、演出家の方とお話する前に色々考えて、たくさんポケットを持っておこうと思っています。地声も使ったミュージカルの歌の力強さも魅力的ですが、ハイスペックなクラシックの方々とご一緒する舞台は本当に楽しみです」。

森さんが印象深いと語る二期会『こうもり』公演(1979年)。ファルケ役は立川澄登。フロッシュ役は坂上二郎さんだった。撮影:鍔山英次

森 公美子(Kumiko Mori)

宮城県出身。昭和音楽短期大学卒業後、二期会オペラスタジオに入所。この間、2度に渡りイタリアに留学。1982年『修道女アンジェリカ』でオペラデビュー。1983年『ナイン』でミュージカルデビュー。1997年のオリジナル版からミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演。2014年初演のミュージカル『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』に主演。第40回菊田一夫演劇賞を受賞。女優・タレントとしても活躍している。二期会会員

J.シュトラウスII世 『こうもり』

オペレッタ全3幕 日本語字幕付原語(ドイツ語)歌唱、日本語台詞上演
指揮:川瀬賢太郎
演出:アンドレアス・ホモキ
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京交響楽団
日生劇場

2021年11月

25日(木)18:30
26日(金)14:00
27日(土)14:00
28日(日)14:00