TOKYO niki kai OPERA FOUNDATION NEW STYLE OPERA MAGAZINE

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オペラを楽しむ

The Merry Widow

『メリー・ウィドー』出演歌手からのメッセージ

ステイホーム期間を経て気持ちも新たに再始動した、ダニロ役とハンナ役を演じる4人の歌手からのメッセージをお届けします。

ハンナ・グラヴァリ役

腰越 満美

Mami Koshigoe

ソプラノSoprano

Who is she?

東京コンセルヴァトアール尚美ディプロマコース修了。二期会オペラスタジオ(最優秀賞、川崎靜子賞)、文化庁オペラ研修所修了。文化庁在外研修員として渡伊。フェッルッチョ・タリアヴィーニ国際コンクール第1 位。新国立劇場、東京二期会、日生劇場等でオペラ主演の他、NHKニューイヤーオペラコンサートに出演。CD「武満徹:SONGS」等をリリース。二期会会員

Message

●自宅時間の過ごし方 ステイホーム期間中は、多くの方がそうだったのではと思いますが、やろうと思いながら忙しさにかまけて手を付けられずにいた写真や楽譜の整理、その他の断捨離に励みました。精神衛生上のバイブルとしては、哲学者の中島義道さんの著書でしょうか。

●ハンナ役について 柔軟でたおやかな女性としての美しさと魅力を持ちながら、自分の立場や周囲を大局的に見られる知性を兼ね備えた人。ダニロに「やはりこの人でなくては!」と思わせるようなハンナを演じたいなと思います。

●読者の皆様へ 音楽が生きていくために必要なものであり、日々の生活に心の栄養と豊かさをもたらしてくれるものだと実感していただけるよう、歌い手、オーケストラ、スタッフ皆で力を合わせて、心から楽しんでいただける舞台を作りたいと思います。

ハンナ・グラヴァリ役

嘉目 真木子

Makiko Yoshime

ソプラノSoprano

©T.Tairadate

Who is she?

国立音楽大学卒業、同大学院修了。二期会オペラ研修所修了(優秀賞)。文化庁在外研修員として渡伊。東京二期会には『魔笛』パミーナでデビュー、以後様々な役を演じ、フランス国立ラン歌劇場との共同制作『金閣寺』(宮本亞門演出) ではフランスデビューを飾った。コンサートでは「第九」等で活躍の他、NHK ニューイヤーオペラコンサートにも出演。二期会会員

Message

●自宅時間の過ごし方 三食自炊になって図らずも健康的になり、思考がポジティブになりました。演奏の場が失われ、最初は虚無感に包まれる日々でしたが、料理をすることで、その後腐ることなく過ごせていたと思います。

●ハンナ役について 大人の女性でありながら少女のような可愛さも持ち合わせているのがこの役の魅力ではないかと思います。久しぶりの舞台で、とても嬉しいです! 舞台の魅力は「自分とは違う人物になれること」です。それはとてつもなく面白い作業なのです。今回どんなハンナになれるのか、私自身とても楽しみにしています。

●読者の皆様へ 日々の生活の中でまだまだ不安なこともあると思いますし、観劇中もご協力していただくこともあるかと思いますが、心だけは舞台に開放していただけたら嬉しいです! お客様がいてこそ出来上がる空気感があります。ぜひ生の舞台を一緒に作り上げましょう!

ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵役

宮本 益光

Masumitsu Miyamoto

バリトンBaritone

Who is he?

東京藝術大学卒業、同大学院博士課程修了。2004 年『ドン・ジョヴァンニ』(宮本亞門演出) 題名役で二期会デビュー。その後新国立劇場『鹿鳴館』、東京二期会『金閣寺』はじめ日生劇場、神奈川県民ホール等で数々の作品に出演するほか、作詞・訳詞・執筆・演出等でも多彩な才能を発揮し、創造性あふれるステージで聴衆を魅了している。二期会会員

Message

●自宅時間の過ごし方 予定されていた舞台が全てなくなり、打ちひしがれていました。自分の存在意義を疑うほど苦しみましたが、その苦しみを癒してくれたのも音楽でした。

●ダニロ役について お会いすることは叶いませんでしたが、二期会のダニロと言えば、立川清登、その人です。芸は正真正銘の本物でありながら、クラシックの枠を超えて人々に音楽の素晴らしさを伝えた憧れの先輩。誰かの思い出に生き続けるような、そんな舞台を創りたいと願っています。

●読者の皆様へ まだまだ不安な日々が続いていますが、生活に音楽を携えるという心の贅沢は、“不要不急”という言葉に抑圧されるような脆弱なものではないと信じています。舞台再開にあたり、これまでと変わらぬ思いで臨みたいと思いますが、込み上げるものを抑えられるか心配です。唇は語らずとも、もうワルツが聴こえています。

ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵役

与那城 敬

Kei Yonashiro

バリトンBaritone

©永友ヒロミ

Who is he?

桐朋学園大学卒業。同大学研究科、新国立劇場オペラ研修所修了。文化庁在外研修員としてミラノで研鑽。新国立劇場をはじめ兵庫県立芸術文化センター、日生劇場など数々の舞台で活躍。コンサートにおいても国内主要オーケストラと共演するほか東急ジルベスターコンサート、NHKニューイヤーオペラコンサートに出演し各方面から注目を集めている。二期会会員

Message

●自宅時間の過ごし方 こんな時でも歌を届けられたらと思い、機材を購入して自宅で自らCD 制作を行いました。想像以上に楽しく、新しい趣味ができたと思っています。また、ピアニストの寺西昭子さんの半生を綴った『ピアノとともに生きる』(松本太郎著、さんこう社刊)という本に出会い、感銘を受けました。音楽家にとって苦難というべき状況が続いていますが、ポジティブに前進する勇気を貰った一冊です。

●ダニロ役について 二枚目だけど、どこか抜けていて憎めないダニロ。今回は何度も共演を重ねていてプライベートでも仲の良いキャストが揃ったので、気負わずに良い意味で素の部分を舞台上で出せればと思っています。お客様が思わず笑ってしまうような、そんな瞬間を作りたいです。

●読者の皆様へ どんなに時代が変化しても、劇場空間でしか味わえない喜びを一緒に分かち合いましょう!

レハール 『メリー・ウィドー』

オペレッタ全3幕 日本語訳詞上演(歌唱部分日本語字幕付)
指揮:沖澤のどか 演出:眞鍋卓嗣 管弦楽:東京交響楽団
日生劇場 ※11月25日(水)18:30 はプレビュー公演
2020 年11 月26 日(木)18:30、27 日(金)14:00、28 日(土)14:00、29 日(日)14:00