『メリー・ウィドー』キャストインタビュー
盛田 麻央・三戸 大久
『メリー・ウィドー』出演歌手の素顔
ハンナ×ダニロの恋の駆け引きとともに、ツェータ男爵×ヴァランシェンヌ夫婦の浮気疑惑を巡る騒ぎも『メリー・ウィドー』の見どころのひとつ。この二人を演じる三戸大久と盛田麻央のインタビューをお届けします。
「ヴァランシェンヌ」役を演じる
ソプラノ盛田麻央11月26・28日出演
盛田麻央は明るくパワフルな女性。持ち前のバイタリティで、学生時代はフランス歌曲を専攻しつつオペラにも打ち込み、現在は歌手活動の傍ら新米ママとして子育てに奮闘中だ
「(どちらか一方を選ぶのではなく)
両方やれるなら両方やりたい(笑)」
大学院ではフランス歌曲科に在籍していました。フォーレとかドビュッシーの歌曲は、和音の1ピースとして歌をはめ込んでいくような感覚で、なんともおしゃれなんです。カリキュラムとしてオペラ科の授業も選択できたので、オペラにも取り組みました。オペラだと身体を使った表現もできるし(ミュージカルなどと違い)自分の生の声を会場に届けられるし、最高だなって思いましたね。これは私のずるいところなんですが、両方やれるなら両方やろうって(笑)。
(大学院修了後は)二期会のマスタークラスで1年間学んだ後、フランスに2年間留学しました。最初は言葉も分からないし、パリ国立高等音楽院では大学院に入ったので授業も毎日あって必死でしたね(笑)。卒業試験では俳句と様々な音楽を組み合わせて四季を表現し、満場一致で最優秀の評価をいただきました。学年は違いましたが(東京二期会で『金閣寺』を指揮した)マキシム(・パスカル)とは校内で顔見知りでした。日本の二期会で再会するなんて、すごい巡り合わせですよね。「一緒に何かできたらいいね」って話しています。
子供がまだ小さいので、もう毎日大変(笑)。スケジュールをやりくりして夫と協力し合って育てています。子育てをしている歌手の先輩も多いので心強いです。
全幕物のオペレッタに出演するのは今回が初めてなので、とてもわくわくしています。ヴァランシェンヌの愛らしさを感じていただけたらいいですね。(談)
オフの日には
休日は幼い娘を持つママの顔に。晴れた日は近所の公園にお散歩に行く。
盛田 麻央(もりた まお) ソプラノ
国立音楽大学卒業、同大学院フランス歌曲コース修了。二期会オペラ研修所修了。パリ・エコール・ノルマル音楽院首席卒業、パリ国立高等音楽院修了。第17回日仏声楽コンクール第1位、及び竹村賞。第12回東京音楽コンクール第2位。2011年『フィガロの結婚』花娘Ⅰで二期会デビュー、その後『ドン・ジョヴァンニ』ツェルリーナ、『フィガロの結婚』バルバリーナも演じる。二期会会員
© 小山田邦哉
「ミルコ・ツェータ男爵」役を演じる
バス・バリトン三戸 大久11月27・29日出演
圧倒的な存在感を誇る三戸大久は、中学時代に相撲部屋からスカウトされた経験を持つ、ただ一人の(？)オペラ歌手。
オペラのみならず舞台で幅広い経験を積んできた
「いろいろな演出家との
コラボレーションがとても面白い」
中学校の修学旅行で初めて観たミュージカル『オペラ座の怪人』に衝撃を受けて、「僕はこの舞台に乗りたい！」と思ったんです。(高校時代もその情熱は冷めず)一浪して新聞配達をしながら東京で予備校に通い、武蔵野音楽大学に入学しました。大学4年間はすごく楽しくて。東京ではミュージカルも演劇もこんなに観られるんだと。劇団☆新感線や平田オリザさんの舞台、野田地図も観に行きました。とにかく舞台が好きでしたね。
僕は演出家の方とのご縁に恵まれていまして、大学卒業後にはオーディションを受けて、宮本亞門さん演出のミュージカル『キャンディード』に出演させてもらいました。(出演者には)二期会の方も多かったですし、今も仲良くしてもらっている俳優の岡幸二郎さんと出会ったのもこの作品です。(2017年には)河瀨直美監督が演出したオペラ『トスカ』で、ずっと夢だったスカルピア役を演じました。いろいろな演出家の方とのコラボレーションが、僕にとってはすごく面白いんですよね。(舞台に立つ者として)やはり「歌いながらこれはできない」とは、あまり言いたくない。まずやってみたいなと思うんです。
今回の『メリー・ウィドー』で指揮をする沖澤のどかマエストロとは同じ青森出身なんですが、実は彼女、高校教師をしていた父の教え子なんですよ(笑)。彼女がブザンソン(指揮者コンクール)をとった後にご一緒するのは初めてなので楽しみです。この作品は、音楽が少し切なくて甘美で、とてもいいんですよね。(談)
オフの日には
子供たちのリクエストで料理を。
店を開くという野望も！
三戸 大久(さんのへ ひろひさ) バス・バリトン
武蔵野音楽大学卒業。二期会オペラ研修所修了。第46回日伊声楽コンコルソ第3位。文化庁新進芸術家海外研修員としてウィーンにて研鑽。これまでに東京二期会や新国立劇場等の公演で、多彩な演出家らと協働。2017年全国共同制作プロジェクト『トスカ』(河瀨直美演出)スカルピアでは高い評価を得る。「第九」「荘厳ミサ」等ソリストとして主要楽団との共演も多い。二期会会員
