若者の文化やファッションの流行発信地として、世界にもその名は轟き、多くの外国人観光客も訪れる渋谷。エンタテインメント性あふれる街の魅力が広がる一方で、若者＝子供のイメージも根強く、敬遠しがちな方も少なからずいるだろう。しかし、感度の高いクリエイターが集う渋谷には、洒落たコンセプトショップ、歴史ある飲食店やオーセンティックバーなどが点在し、粋な大人たちにふさわしい場所も数多く存在する。

その代表格が、高級住宅街、松濤エリアの玄関口に位置する1989年に誕生したBunkamuraだ。今回、『エロディアード』が上演されるオーチャードホールをはじめ、劇場、美術館、映画館、カフェやショップを有する日本初の大型複合文化施設として、当時としては珍しい形態と著名なフランス人建築家、ジャン＝ミシェル・ヴィルモットによるモダンな建物が話題をさらった。石やガラスなどの天然素材を多用し、近代的でありながらエスプリが薫る空間は30年経た今なお色あせることなく味わい深い趣で、心地よい空気に包まれる。国内外の優れた公演やアート作品に触れられるここBunkamuraで、感性を刺激する豊かなひとときに浸ってみてほしい。

たとえば、美術館の〝ザ・ミュージアム〟では「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」が開催。日本初公開となるドガの《リハーサル》が拝めるまたとない機会！　また『エロディアード』公演に併せた特別企画も。カフェ＆レストラン〝ドゥ マゴ パリ〟では作品をイメージしたオリジナルカクテルが供され、ブックショップ〝ナディッフモダン〟には関連コーナーが設置されるなど貴重な体験に、今から胸が高まる。

オペラ観劇当日は、ぜひ一日ゆっくり時間をかけて施設内を探索して。本誌で取り上げている楽しみ以外にも新たな発見や素敵な出合いが待っているかも!?

ドゥ マゴ パリ　特典あり

1884年創業。パリのサンジェルマン・デ・プレ地区にあるドゥマゴは、アーネスト・ヘミングウェイやパブロ・ピカソなど著名な作家や芸術家たちが通いつめ、芸術文化が育まれた老舗カフェ。その海外初提携店として誕生したのがこちら。本店の伝統を受け継ぎながら、モダンフレンチを融合した多彩なメニューを展開。なかでも観劇前後にいただける手軽なコース“シアターメニュー”は定評。『エロディアード』上演記念として2日間限定で提供されるオリジナルカクテルは、作品をイメージした愛と苦悩を表現。格別な一杯に酔いしれて。

営業時間／11:30～22:30(日曜・祝祭日～21:30)
L.O.はフード各1時間前、ドリンク各30分前
TEL 03-3477-9124

ザ・ミュージアム　特典あり

床面積837㎡、天井高4mの無柱の展示室は可動壁面パネルを自由自在に構成することで展覧会に合わせてさまざまな空間を創出。19～20世紀の西洋絵画展、海外美術館の名品展をはじめ、年間4～6回の企画展を開催している。4月27日に開幕する「印象派への旅　海運王の夢 バレル・コレクション」は海運王と呼ばれたウィリアム・バレルの世界屈指のコレクションをはじめとする計80点を展示。来日作品の中でも特に、バレエを題材にしたエドガー・ドガの初期の作品《リハーサル》は日本初公開。イギリスでしか見ることのできなかった門外不出の希少作品に注目。

「印象派への旅　海運王の夢 バレル・コレクション」
開催期間／4月27日(土)～6月30日(日)
開館時間／10:00～18:00　金・土曜～21:00(最終入館は閉館時間の各30分前)
休館／5月7日(火)、21日(火)、6月4日(火)　入館料／一般1,500円 ほか
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)

ブックショップ ナディッフモダン

絵画、映画、音楽、建築と20世紀の芸術を主軸に、そこからさらなる好奇心へと導けるようなラインナップで、多角的に芸術を感じ取れるような創造性豊かな書店。アーティストによる作品展示やトークイベントなども行われる。『エロディアード』上演期間中は、原作本など関連書籍コーナーを展開。作品の面白さや奥深い世界観に、より共感できること必至、ぜひ足を運びたい。

営業時間／10:00～20:00(金・土曜～21:00)
TEL 03-3477-9134