世界中を飛び回るオペラ歌手にとって、飛行機は身近な存在だ。ヨーロッパへ、アメリカへ、場所によっては10時間を超えるフライトもざらである。密閉された機内で長時間どう過ごすかに、頭を悩ませる人も多いのではないだろうか。しかしここに、「飛行機の中ですごす時間は何よりもリラックスできる」という人物がいる。モーツァルトを歌わせたら右に出るものはいないテノール、望月哲也さんだ。
「大学3年生の時にイタリアを訪れたのが、生まれて初めての海外旅行。その後ウィーンに留学した5年の間、日本とウィーンを行ったり来たりする中で数え切れないくらい飛行機に乗り、すっかり飛行機好きになりました。」
普通飛行機では、食事をして映画を見たら後は睡眠、という人が多いのではないかと思うが、望月さんは違う。寝ない。映画も観ない。ずっと窓の外の景色を眺めている。
「実は僕、地図を見るのも好きなんです。地図で覚えた地形がはるか眼下に広がっているのを見るとワクワクします。」
航空科学博物館
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望月哲也 (もちづき てつや) テノール
東京都出身。東京藝術大学卒業、同大学院修了。二期会オペラスタジオ修了時に最優秀賞受賞。文化庁派遣研修員としてウィーン国立音楽大学で学ぶ。06年東京二期会とハンブルグ州立歌劇場との共同制作『皇帝ティトの慈悲』表題役(演出:P.コンヴィチュニー)で高く評価され、その後も新国立劇場、びわ湖ホール・神奈川県民ホール等に多数出演、絶賛されている。NHKニューイヤー・オペラコンサートにも連続出演。宗教曲の分野でも評価は高く、バッハ「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」等のエヴァンゲリストには定評がある。最新CDは「ひそやかな誘い~R.シュトラウス歌曲集」。
二期会会員