美しい歌声の秘密は食にあり!
ジョン ハオが通う横浜中華街の名店
米の粉で作った広東式「えび入り蒸しクレープ」は人気の逸品。
ひとくちに中華料理といっても広東、四川、上海など様々な種類があり、どの店に入ったらいいのか迷ってしまう横浜中華街。名店ひしめく中華街で、ジョン ハオさん一押しなのが「菜香新館(さいこうしんかん)」。インターネットでも人気のこの店は、開店前から行列ができるほどだ。そんな菜香新館でジョンさんが選んだメニューは、あひる肉のあぶり焼きや砂肝とクレソンのスープなど珍しいものばかりだったが、中でも驚いたのが、あひるの舌煮込み丁香風味。西太后も愛したというあひるの舌は、美肌のビタミンとよばれるビタミンB2や鉄分が豊富で、鳥類の舌の中ではいちばん美味しいらしい。ジョンさんは、友達がくるとこの店に案内してあひるの舌を食べさせているのだそう。個室もありゆったりとした雰囲気の中、本場の中国の味が楽しめるこの店に行けば、ジョン ハオさんにバッタリ会えるかも?!
最近、女性の間で密かなブームとなっている中国茶。日本茶に比べて格段に種類の多い中国茶に惹かれ多くの女性が訪れているのが、ここ「悟空茶荘」だ。
混雑時には2時間の制限がかかるという人気店だけに、平日にも関わらず満席という盛況ぶり。来日する時に、中国から茶器一式を持ってきたというジョンさんのレクチャーで、白芽奇蘭というお茶をいただく。最初の一煎目は飲まずに急須にかけてしまう。こうすることで艶が出て急須が「育つ」のだそうだ。茶器の世界は奥深く、1種類のお茶に1つの茶器を使うのが正式だとか。ジョンさんは、家に友達を招待してお茶をふるまうのが好きで、おしゃべりしながら何時間でも過ごせてしまうらしい。「仕事も忘れられて本当に幸せな時間!」と笑うジョンさんの大らかなキャラクターはお茶の賜物なのかもしれない。
1945(昭和21)年に開店以来60年あまり、中華街の厨房を支えてきた食材店「耀盛號(ようせいごう)」は、ジョンさんにとっても、「ふるさとの味」を再現するためになくてはならないお店。麻婆豆腐に欠かせない花椒、肉料理に八角と桂皮、羊肉炒めに小茴香など、様々な調味料が揃う。ジョンさんいちばんのオススメは、油辣椒(ユラージャオ)というラー油。数年前ブームになった「食べるラー油」の元になったものだ。ただ辛いだけでなくまろやかな風味があり、料理に複雑な味を添える。また「耀盛號」には、燕の巣や鹿鞭(シカのペニス)などの高級食材もあり、プロの料理人もよく訪れるのだとか。店先のショーケースに並んだ中国菓子に、思わず笑顔になるジョンさん。「子どもの頃お父さんがよく作ってくれた」という可愛いハリネズミまんは、彼の笑顔のように優しい味だった。
ジョン ハオ(鍾皓) バス
中国中央音楽学院卒。05年に来日、東京芸大大学院修了。第38回イタリア声楽コンクール・シエナ部門シエナ大賞(第1位)。08年東京芸術劇場『イリス』で「どこに出しても恥ずかしくない本当のバスの声」と評される。5月二期会『マクベス』バンコーで好評を博す。BSフジ「レシピ・アン」にMCとして出演中。7月『セビリャの理髪師』、11月『フィデリオ』、2014年『ドン・カルロ』フィリッポに出演予定。
二期会会員
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