24歳の若さでイタリアの主要な劇場やフェスティバルを次々と制覇、スカラ座やベルリン・ドイツ・オペラへのデビューも控え、50年に一人の逸材との呼び声もあるアンドレア・バッティストーニ。二期会初演となる『ナブッコ』で日本デビューを果たす。首席客演指揮者をつとめるパルマの王立歌劇場が主催するヴェルディフェスティバルで、『ファルスタッフ』の初日を終えたばかりのマエストロに話をきいた。
二期会『ナブッコ』チラシを手にするアンドレア・バッティストーニ
バッティストーニとの出会いは鮮烈だった。昨年のヴェルディフェスティバルで一番話題になった『アッティラ』を振ったのが彼だったのだ。鮮やかな推進力と抜群のテンポ感、そして柔軟さを兼ね備え、歌手の歌心も存分に発揮させる音楽作り。曲が進むごとに熱が高まり、ヴェルディの故地ブッセートのヴェルディ劇場は、新たなスターの誕生に沸き返った。あの指揮者、23歳だって!驚きの囁きが天井桟敷に広がっていたのを覚えている。
それから1年。『ファルスタッフ』も素晴らしかった。音楽が完全に体のなかに入っている。インタビューで彼が強調していた「イタリアオペラ史上初の連続した、劇としてのオペラ」である一貫性が浮き彫りにされ、ほとばしる若さも好もしかった。『アッティラ』とはまったく異なる様式を自分のものにしている。きくところによると、ヴェルディのオペラの大半は暗譜しているという。凄い指揮者が現れたものだ。
二期会での『ナブッコ』の後は、スカラ座で『フィガロの結婚』、フィレンツェで『ラ・トラヴィアータ』、2013年にはベルリン・ドイツ・オペラで『ナブッコ』と大型デビューを控える。世界への飛躍目前のイタリア人大型指揮者を日本で聴けるのは、何と幸せなことだろう。
アンドレア・バッティストーニ Andrea Battistoni
1987年ヴェローナで生まれ。7歳よりチェロを学び、後に作曲・指揮を学んだ。
2011年1月より、パルマ王立歌劇場の首席客演指揮者に就任。キャリアの初期より著名な劇場、バーゼル歌劇場、ヴェルディ・トリエステ歌劇場、ナポリ・サンカルロ歌劇場、ヴェローナ・フィラルモニコ劇場、カリアリ歌劇場、パレルモ・マッシモ歌劇場、ミラノ・アルチンボルディ劇場、パルマ王立歌劇場等で指揮している。またブレシアとベルガモのミケランジェリ音楽祭、ペーザロ・ロッシーニ音楽祭、パルマ・ヴェルディ音楽祭にもこの若さで登場している。
既に『ラ・ボエーム』『ランスへの旅』『秘密の結婚』『アッティラ』『ラ・トラヴィアータ』『セビリャの理髪師』『リゴレット』を指揮しており、今年アレーナ・ディ・ヴェローナ、ヴェネツィア・フェニーチェ歌劇場で『セビリャの理髪師』、マチェラータ音楽祭『リゴレット』、パルマ・ヴェルディ音楽祭『ファルスタッフ』を指揮した。12年には、2月の東京二期会『ナブッコ』でのデビューに続き、6月には総本山であるミラノ・スカラ座に『フィガロの結婚』でデビューする。
12年ベルリン・フィルハーモニーザールでベルリン・ドイツ・オペラ管と『イル・トロヴァトーレ』演奏会形式に続き、13年にはベルリン・ドイツ・オペラで『ナブッコ』新演出上演を早くも任される。
世界の視線を最も熱く浴びるイタリア指揮者の超新星。
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