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オペラを楽しむ

私とオペラ
とよた 真帆

 オペラとの出会いは、小学生の時に、学校の行事で聴きに行ったのが最初ですね。ソプラノ歌手の女性が歌っていた、ヴェニス古謡の有名な「ラ・ジロメッタ」という曲を、一度しか耳にしていないのに覚えてしまったくらい、衝撃を受けたことを覚えています。
 歌手のかたは、歌いながらも余裕があるので、舞台の上から客席に向かって歌いかけていただけることがありますよね。前から三列目くらいで観たのかな。目が合ってしまって「私に歌ってる!」って。
 子どもの頃の思い出は、強烈に刺激を受けたものが残っているらしいです。「うれしい!」とか「悲しい…」と思ったことや、辛いこと、感激したことが刺激となって、人間の脳に記憶として刻まれるそうです。なので、強烈にそのオペラの印象は残っているんです。舞台に立って歌っている人が、ニコニコしながら自分と目が合うって、なんていう世界だろう、オペラってこういう世界か!って。
 20代の時には、ウィーンでオペラを観に行きました。パリに旅行に行き、お友だちのところで泊まっていたんです。十日くらい、ぷらぷらお散歩したりして過ごしていたら、母がヨーロッパへ旅行するというので、合流することになって、パリからウィーンに一人で入りました。母のツアーにオペラ鑑賞がついていて、私もご一緒していいってことで、チケットをとっていただいて行ったんです。ウィーンの歌劇場は、もう素晴らしかったですね。みなさん綺麗におしゃれして。夢のような夜だったことを覚えています。
 舞台鑑賞は、多い時は毎月のように行きますね。お友だちが出演しているとお知らせをいただくので、予定が空いていれば必ず。一緒に行くのは夫だったり、俳優のお友だちと行きますが、一人で行くことも多いですね。
 私の場合は半分お仕事というのもありますが、一人で観ると、自分の感性で自問自答できますよね。
 これからオペラを体験したいな、と思っていらっしゃるなら、まずは知っている歌があるオペラのコンサートから入ると楽しいんじゃないかと思います。「この歌がオペラになると、こんなに迫力満点になって、こんなに身体に響くのか!」って、純粋に歌に感動しますよね。それがいいんじゃないでしょうか。人間が出す生の音のすごさに驚きますし、知っている歌なら馴染みやすいです。あと、好きなオペラ歌手を見つけるというのもオススメです。

とよた 真帆(とよた まほ)

1967年東京都出身。女優。
芸術への造詣も深く、写真や絵画の個展を開いたり、京友禅の絵師として着物のデザインを手掛けるなど幅広く活躍。
現在ベルギーワロン・ブリュッセル観光大使を務める。