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ペーター・コンヴィチュニー

演出家 ぺーター・コンヴィチュニー
人生の根本問題を訴える

2008年7月6日付 日本経済新聞サンデー日経アート探求欄に
ペーター・コンヴィチュニーの「語る」が掲載されました。
日本経済新聞社の許可を得て要約を転載します。


欧州のムジークテアーター(音楽劇場)を代表する演出家。バイエルン、シュツットガルト、ドレスデンなどドイツ各地の州立歌劇場の日本公演で看板演目を飾るのはもちろん、最近では日本人歌手が演じる舞台の制作にも招かれる。9月には東京二期会でチャイコフスキー作曲の歌劇「エフゲニー・オネーギン」の演出を手がけることになった。

(中略)

「オネーギン」の基本は1995年にライプチヒで制作した舞台。バルセロナ、アムステルダムで上演された後、東京を経てコペンハーゲンにもかかる予定で「じっくり練り上げてきた」と胸を張る。

二期会との仕事は2006年、モーツァルト生誕250周年を記念した『皇帝ティトの慈悲』(ハンブルク州立歌劇場との共同制作)以来二度目。今回も欧米の歌手が初演した舞台を日本人歌手だけで再演することになるが「個々の歌手の持ち味に応じ細部は微妙に異なるものの、人間の感情と行為、人間と人間の関係に対する基本理解は全く変わらない」と確信する。

『オネーギン』の核心も19世紀ロシア、プーシキンといった外面ではなく、「愛したい、愛さなければならないのに、どうずればよいかわからない一組の男女の物語にある」と。「この人生の根本問題は、学校では決して習えない。だが時代や洋の東西の隔たりを超え、現代の日本人にも強く訴えかけるはず」と見定めている。