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2022年度 特待生レポート [中期]

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河向来実(かわむかい くるみ)
第66期マスタークラス(佐々木典子クラス)

中期のオペレッタの授業について、レポートをさせていただきます。

私が中期オペレッタの授業で勉強させていただいたのは、『伯爵夫人マリツァ』のマリツァ役です。中でもダンスシーンの多いNo.6をいただき、慣れないダンスに苦戦しながらもとても貴重な勉強をさせていただけたと感じております。
まず歌唱の部分から、いつも歌っているクラシックな音楽とは勝手が違い、チャールストンの音楽は低音から高音まで幅広い歌い方が必須で、しかもなだらかなメロディラインではなく、急な音の高低が多い曲だったので、普段あまり歌い慣れていない私は歌唱の面でも少し苦労しました。
そしてオペレッタといえばセリフを使っての演技が必要ですが、今回は母国語である日本語でのセリフだったため、オペレッタの劇中の雰囲気を崩さないまま、聴いているお客様にその内容がしっかりと伝わるような言葉回しをすることがとても重要でした。その際に演出の今井伸昭先生や、オペレッタが十八番である講師の先生方から、「考えすぎず、役のままにしゃべるように」とご指導いただき、本番ではなんとか優しさを持ちながらも、相方のジュパンに的確にツッコミを入れられる、愛嬌があって賢いマリツァという役を理解し、自分の中に落とし込むことができたかなと思います。
そして肝心のダンスシーンですが、今回は⼆期会やその他のオペラカンパニーでも大活躍されている成平有子先⽣に手取り足取りご指導をいただきました。
私たちのシーンは特にダンスのシーンが多く、しかも速いテンポの中で踊らなければならなかったので、レッスンが始まるまでどうなるのかとても不安でしたが、踊り出してみると音楽の中で自然と動けるような振り付けだったので、初回のダンス稽古からとても楽しく踊れたことを覚えています。
相方のジュパン役だった栗田宰早(つかさ)さんも昔からダンスを学んでいたようで、その点でもとても安心感がありました。
オペレッタ特有の明るい雰囲気を、いつもと違う歌唱と台詞での演技、それに付け加えてダンスとで表現しなければならないため、色々なことに気を回さなければならなかったナンバーでしたが、いつもと違う演技法や歌い方を勉強することができて、自分のこれからに活かせそうなことをたくさん経験できました。
先生方はドイツの歌劇場はもちろん、日本でも何度もオペレッタの舞台をご経験されている方ばかりなので、一つ一つのアドバイスがとてもわかりやすく、自分の迷いをすぐに解決してくださって少しオペレッタにおいて自信がついたように思います。
オペレッタは自分にはあまり縁のないものだと勝手に決めつけていましたが、他の研修⽣の稽古を⾒ていても心からワクワクするようなナンバーが多くあったので、いつか私もまたオペレッタを勉強する機会をいただけた際は、今回ご指導いただいたことを思い出しながらステップアップできればと思います。

後期は修了試演会に向けて、各々が⾃分の希望するシーンを取り上げ、すでにその稽古が始まっています。
前期、中期で勉強したことを少しでも活かして本番に臨めるように、引き続き先生方のご指導を仰ぎながらクラス一丸となり勉強して参ります。

中江万柚子(なかえ まゆこ)
第66期マスタークラス(大野徹也クラス)

前期に引き続き、中期の授業での様子や学びについてレポートさせて頂きます。

マスタークラス中期では、オペレッタの作品から一場面、一人一人の声種やキャラクターに合った役を勉強します。毎年観劇を楽しみにしている二期会のオペレッタを、二期会の先生方に直接教えて頂けるということで、始まる前からとてもわくわくしておりました。
オペレッタを勉強するにあたり、私たちが特に力を入れて取り組む必要性があったのが、日本語のセリフと曲中に組み込まれるダンスです。
まず一つ目の日本語でのセリフは、曲前や曲中に必ず組み込まれており、全演目の必須項目でした。私達は普段、歌に気持ちを乗せる「歌唱に伴うお芝居」を勉強していますが、「セリフによるお芝居」には大半が不慣れな為、まずは舞台でも通る声且つ、セリフから歌唱に移行する際に無理のない発声で喋るということから、先生方のご指導のもと勉強を始めました。この点については、ある程度セリフに気持ちを込めてお芝居が出来るようになってきた段階でも苦労した生徒が多く、普段の喋り声とも歌唱時の声とも違う発声ポジションを体得するのに、生徒それぞれが工夫して取り組みました。また、オペレッタには、セリフの最後の一言をきっかけに次の音楽が始まっていくという箇所が多い為、指揮者にもそのきっかけが分かりやすいよう少し大きめにお芝居をするのですが、こういった点もお芝居を構築していく上で留意する必要がある為、気持ちだけではない所謂形式美的な特色のあるオペレッタのお芝居の作り方は、舞台での表現方法の引き出しを増やす上で大変勉強になりました。
ダンスでは、振付指導に成平有子先生をお迎えして、クラス全員で簡単な創作ダンスやワルツステップを勉強しました。演目によってはダンスがほとんど入っていない組もありましたが、振付をされている組を見ながら一緒に覚えたり、分からないステップを教え合ったりすることで理解を深められたように思います。
私は今回、カールマン作曲の『チャールダッシュの女王』からシルヴァとエドウィンの二重唱を勉強しました。エドウィンへの想いと身分の差に葛藤する前半のデュエットと、エドウィンと想いを確認し合った幸せ溢れる後半のワルツでは、シルヴァ自身の気持ちに大きな幅があり、試演会という短い時間の中で如何にしてテンションを後半に繋げるかという点に留意して稽古を重ねました。
また、後半のワルツでは、曲の後半に約30小節にわたるダンスシーンがあったのですが、感染予防対策の結果、実際に手は取らずに組んでいるように見える振付となりました。ペアで行うダンスで、触れ合わずに踊るというのは初めてでしたが、お互いに息を合わせ、細かい手の角度や体の角度の工夫ひとつで十分に組んでいるように見せることが出来るということを教えて頂き、とても勉強になりました。

後期も今期の学びを活かし、研修生として最後の修了試演会に向け更に磨きをかけ、精進して参りたいと思います。

鄭美來(ちょん みれ)
第67期本科(鹿野由之クラス)

研修所本科の7月から10月は、ベルカント様式のオペラ作品を学びました。私の所属する朝クラスではドニゼッティとベッリーニによる計5作品を取り上げました。
私が学ぶことになったのは、ドニゼッティ作曲『ドン・パスクワーレ』のノリーナです。特待生試験の面接時に「どんな役を演じてみたいですか?」と質問されその役名を挙げるほど学びたいと思っていた役なので、いまの有難い環境のなかで学べることになりとても嬉しかったのを覚えています。
演じることになったのは第3幕のドン・パスクワーレとの二重唱です。このシーンでは、ノリーナのチャーミングなところはもちろん、歳の離れた男性すらも手の平で転がしてしまう頭の良さや、女性としての魅力を存分に表現しないといけませんでした。ころころと変わる彼女の表情と、ドン・パスクワーレとの上品ながらも軽快で痛快なやり取りは、どんな演出であってもくすりと笑ってしまう一幕です。色々な公演や映像を見てはきましたが、いざ自分が演じるとなるととても難しく、分からないことだらけのスタートになってしまいました。
ベルカント・オペラでは「様式美」が重視され、それは音楽にも演技にも欠かせないものです。私は幼い頃にバレエを習っていたので、様式美を重視する舞台上での姿勢や立ち居振る舞いについては、ある程度身につけているつもりでした。しかし実際に演技をしながら歌うとなると、多くの壁に直面することになりました。特に今回勉強する作品は観ている人を楽しませなければいけない喜劇。どのように動けば観客を楽しませられるのか、相手役との会話のキャッチボールを分かりやすく伝えられるのか……それを「様式美」と両立させなければいけませんでした。同時期に発声に関しても悩みを抱えていたため、面白さを表現しながらいかに美しく歌い・演じあげるのか、この点が高いハードルとなりました。
先生方からは様々な視点からのご指導をいただき、その中でも特に大きな助けとなったのが「演技のブレスと歌唱のブレスを使い分け、バランスを取ること」でした。演技を優先してしまうがゆえに歌唱のためのブレスを上手く扱えないことが問題だったようで、それらを両立するためにどのように体を使いポジションを保ち続けるかを、毎授業を通して丁寧にご指導いただきました。

予科の頃は基礎をとことん突き詰めるような授業内容だったのですが、本科では取り扱われる演目が変わったこともあり、より実践的な技術を教えていただいています。先生方はどんな小さな悩みや質問にも親身に答えてくださるので、とても充実した時間を過ごしています。この魅力的な環境のなかでより多くのことを学べるよう、残り数カ月も邁進してまいります。

山元三奈(やまもと みな)
第67期本科(鹿野由之クラス)

今回は、前期後半で取り組んだベルカント作品の授業で学ばせて頂いたことや感じたことを、このレポートで触れさせて頂きたいと思います。

私自身普段勉強しているオペラアリアでも、ベルカント・オペラのアリアにたくさん触れており、とても楽しみにしていた授業内容のひとつでした。
私が今回取り組んだ演目は、G.ドニゼッティ作曲『ランメルモールのルチア』より第1幕のルチアとエンリーコの二重唱を勉強させて頂きました。この曲は、ルチアが兄のエドガルドに、大好きなエンリーコとの結婚を許してもらいたいという強い気持ちをぶつける場面を歌っています。
音楽稽古では指揮の佐藤先生をはじめ鹿野先生など、先生方からたくさんのことをご指導頂きました。音楽稽古では、発声のことなどを考えながらも、楽譜に書かれている音からルチアの心情を読み取り、音にのせる事に苦戦しました。
立ち稽古に入ってからは、ルチアの役について、年齢設定からどんな環境で生きてきたのか、どんなキャラクターなのかを明確に分析をし、自分の演じる役をいかに理解しておかなければいけないのかを痛感しました。また、私は今回もダブルキャストで勉強させていただけたので、役柄をお互いに、この場面はどのような心情で歌っているのかを話し合うことができました。様々な捉え方を知り勉強できたおかげで、ルチアの役柄を細かく分析できたと思います。しかし役柄を分析し音にのせようとするあまり、感情が先走ってしまうことがあり、音楽と演技を上手く調和させるのが最初の方はできていなかったように思います。ですが演技指導の澤田先生からのご指導で、「冷静な自分を常にどこかに置いておきなさい」と言っていただき、オペラをする上でいかに冷静な自分を持っていくことが大切なのだということを痛感しました。
そして二期会の授業では、研修生それぞれにあった役を勉強させて頂けるので、自分が勉強していない演目も授業で聞くことができ、とても勉強になっています。クラスメイトの授業を聴講できることで、自分が普段悩んでいたことが解決できることがあったり、クラスメイトの良いところを自分も真似してみようと思えるなど、多くの学びや発見を授業で感じることができます。

後期では、ヴェルディ作曲『リゴレット』の二重唱を勉強しています。前期で学んだことを活かし、取り組んでいきたいと思います。また、本科で過ごす時間も残り僅かなので、日々の授業を大切にし、精進していきたいと思います。

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オペラ歌手育成支援

―― 世界で活躍する声楽家を育成するため皆様からのご支援をお願いいたします。

東京二期会では、声楽家を養成するために、二期会オペラ研修所を開設しています。同研修所は「創造の現場に直結する実践的研鑚の場」として、プロフェッショナルなオペラ歌手の育成を行っています。研修を修了し5年の間に東京二期会オペラ公演には約50名がキャストとして出演し、二期会合唱団のメンバーや他団体の公演で活躍しています。
世界を目指す歌手は、研修期間中さらにレベルの高い研修を必要としており、海外研修や東京二期会が招聘したマエストロや演出家などによる指導を行い多くの経験を積んでゆく計画をしています。
しかし研修生に財政的負担を高めることは成長への障害となるため、奨学金制度を充実し競争意識を持って研修を行っていく所存です。つきましては奨学金制度を拡充するために、皆様からのご支援をお願いしたくご案内いたします。
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二期会オペラ研修所 所長 牧川修一

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