|
大輪の芍薬の花のような人である。現れただけで、その場の空気までもが艶やかな色を帯びたようになる。今回は、まさに「歌姫(ディーヴァ)」と呼ぶのがピッタリな谷口睦美さんの「美」の秘密を探ってみた。
谷口睦美の3つのこだわり まず訪れたのは、はちみつ専門店ラベイユ。谷口さんは、ここで扱うマヌカハニーを手放せないという。以前から、ノドが少し変だなという時にマヌカハニーの飴をなめると調子がよくなることは体験済みだった。飴ではなくはちみつそのものを求めてインターネットで検索して、このお店にたどり着いた。マヌカとは、ニュージーランド原産のハーブで、原住民マオリ族はマヌカの葉やはちみつを薬として使ってきた歴史がある。マヌカハニーのもつ抗菌作用はUMFという数値で表され、ラベイユではUMF10～20のものを扱っているが、谷口さんが常備しているのはUMF16～20で、中でもかなり抗菌作用が高いもの。その証拠に、このはちみつを愛用してから、谷口さんはインフルエンザにかかったことがないそうだ。
オペラ歌手は、舞台では日常生活とは違うメイクアップをする。さぞ肌に負担がかかると思うのだが、谷口さんの肌は肌理(きめ)が細かくて、同性が見てもうっとりとしてしまう。アルコールを一切飲まない谷口さんが常飲しているのが、「温泉水99」だ。硬度2以下という超軟水は、何よりまろやかな口当たりが特徴。谷口さんは、常温で飲むほか、ご飯やお味噌汁など料理すべてに使っている。もちろん、舞台の楽屋にも持参する。歌った後に意識してこの水を飲むと、ノドの疲れがとれるのを感じるという。
ハチミツも水も、体にいいものは美しさに直結している。そして、最後の仕上げは、「香り」。谷口さんは薔薇の花の香りをこよなく愛している。香水はもちろん、ルーム・フレグランス、石けんなど、すべてを薔薇の香りで統一。薔薇は女性ホルモンを活性化させると言われているが、谷口さんを見ているとその説を猛烈に支持したくなってくる。中でもお気に入りは、レリアン・ローズギャラリーのポプリ。繊細なサッシェや箱につめられた花びらのポプリに、オリジナルのローズオイルを数滴たらした香りは、「凛とした媚びない女性のイメージ」。このポプリを谷口さんは楽屋に置いて本番前の時間を過ごす。
オペラ歌手は人々に夢を運ぶ仕事。「ありきたりではダメ。私が私であることがいちばん重要」という谷口睦美さんは、カルメンを演じた時、ホセに渡す造花の薔薇に香水をまとわせたのだそうだ。ヴィジュアルだけでなくその振る舞いも、やはり美しい人はどこか違う。
|
| →オペラを楽しむTOP |
