TOKYO niki kai OPERA FOUNDATION NEW STYLE OPERA MAGAZINE

ENGLISH

オペラを楽しむ

オテロ公演を終えて・・・

梅花咲きそろった2010年2月17・18・20・21日の4日間、上野・東京文化会館大ホールで行われました。
東京二期会オペラ公演『オテロ』にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。
皆様からの暖かいご支援のもと、大盛況のうちに幕を下ろすことができました。
アンケートボックスへとお寄せいただいた声を一部ご紹介させていただきます。



第3幕第2場 前左より 岡田尚之(カッシオ) 成田勝美(オテロ) 日比野幸(デズデモナ) 三戸大久(ロドヴィーコ)
大沼徹(イアーゴ) 加賀ひとみ(エミーリア) 撮影:三枝近志


 現代人の例外に洩れず、日々、時間に追われる習慣が身についているせいか、私は当日、開演ぎりぎりに東京文化会館へと駆けつけた。開演のベルが鳴る前に、着席できたのがむしろ不思議なくらいだった。何ヶ月も前から稽古に専念されてきた出演者の方々には、失礼千万な話である。
 しかし、第一幕が始まった途端に、現実の世界を忘れ、圧倒的な迫力あふれる舞台に引き込まれていった。そこには、感情を抑え「正常な社会生活者」たらんとする我々の、日頃の生活とはかけ離れた、人間臭さが強調され、個性がぶつかり合う、非日常的な世界が展開されていた。
 男の嫉妬が渦巻くキプロスで、心の底の気持ちを高らかに謳い、次々と罠を仕掛けていくイアーゴと、仕掛けられた嫉妬の罠に見事にはまって身を滅ぼしてしまうオテロの姿。さすがシェイクスピアの世界だ、と最初は距離を置いて観ていたものが、知らず知らずのうちに感情移入をし、気が付くと、現実の世界でも紙一重で相似する現象が転がっているような気持ちになり、終演のころには薄ら寒くさえなった。
 朗々と歌う「柳の歌」を聴きながら、このテンポ感は日常の感覚とは離れていると思いつつ、もし、このスロースピードで現代の世の中が動いていたら、心の引き出しにしまってあるはずの本性がそぞろ顔を出して来て、だましだまされ、嫉妬に渦巻くようなことになってしまうかもしれないと感じ始め、むしろ、時間に追われてあくせくしているくらいの方が、身を滅ぼさないのではないか、と安堵した次第である。
 このようなレベルの高い二期会公演をこれからも楽しみにしたい。
ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社
代表取締役社長 笹野 和泉

第2幕 福井敬(オテロ)
大島幾雄(イアーゴ)
撮影:鍔山英次

 緩急をつけたオーケストラが素晴らしかった。特にパーカッションは劇的効果を高めていた。オテロも、力強い声で期待をはるかにうわまわっていた。(40代・男性)

 前もってドミンゴの『オテロ』をDVDでみてきたが、今日の公演は期待した以上の出来で、オテロ、イアーゴ、デズデモナ、合唱とも(オケも)大変聴き応えがあった。(60代・女性)

 二期会のオペラはかっちりしていて、それなりの水準には達しているので、安定感はある。だが、真面目すぎて面白くない。雰囲気がない。良い意味でのアソビがない。藤原義江さんがよく言っていた、雰囲気を出す工夫が必要。(70代・男性)
 
 『オテロ』初見ですが、白井さんが演出をすると知り、とても興味を持ちました。一幕開始から暗幕が落ちてカッコよかったです。ブラヴォー!(20代・女性)

 抽象的なセットですが、立ち位置など全ての場面が絵になっていました。終幕、柳の歌から涙が止まりませんでした。初心者ですが感動しました。生はやはり良いですね。DVDやライブビューイングでは味わえないエネルギーです。(40代・女性)

 ほんの少しのすれ違いから起こる悲劇が情感たっぷりに演じられて本当に感動した!イタリア語は分かりませんが字幕を見なくても伝わるものがありました。(50代・女性)
第1幕 福井敬(オテロ)
大山亜紀子(デズデモナ)
撮影:鍔山英次
第4幕 日比野幸(デズデモナ)
成田勝美(オテロ)
撮影:三枝近志
第3幕第1場 成田勝美(オテロ)
大沼徹(イアーゴ)
撮影:三枝近志


→オペラを楽しむTOP