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オペラを楽しむ

「オペラの楽しみ」 室田尚子

第14回「オペラをもっと楽しむために」
 
 この「オペラの楽しみ」も、早いもので14回を数えるまでになりました。小さなコラムですが、皆様にオペラの面白さ、素晴らしさをお伝えできれば、という気持ちで続けています。オペラの森には、まだまだたくさん、素敵な作品があります。また、その楽しみ方も一通りではありません。今回は、「オペラをもっと楽しむために」と題し、実際の舞台を観る前の「予習」について考えてみましょう。え、なんだか難しそう? いえいえ、そんなことはありません。ほんの少しの予習で、オペラの舞台はもっともっと面白くなるのです!

1.家での予習 〜作品を知る〜


隔週刊 DVD オペラ・コレクション
全幕完全収録のDVD付き
創刊号:カルメン/第2号:椿姫/
第3号:魔笛/第4号:蝶々夫人/
第5号:アイーダ(※以下続刊)
yデアゴスティーニ
 このコラムの第1回で、私は、「オペラは予習しなくてもいい」と書きました。確かに、今ではたいていの舞台に字幕がついていますから、まったく知らないストーリーでも、言葉がわからなくてチンプンカンプンだったわ、ということにはならずにすみます。けれども、もし時間に少し余裕があるなら、そして、これから観に行くオペラのことをよりよく知りたいと思うなら、事前にストーリーを把握しておくことは、決してマイナスにはなりません。もちろん、字幕は歌詞に忠実に訳してあるのでとても便利ですが、実際に舞台を観ながら字幕も同時に追いかける、という作業は、舞台への集中力をそいでしまうこともあります(ことによると、舞台を観にいったのか、字幕を見にいったのかわからない、なんていう悲劇も起こりえます)。
 そこで、「予習」です。ストーリーを知るだけならば、作品ごとに簡単にあらすじを紹介している本があるので、そうしたものを読むのが手っ取り早いですが、それだけではどうも味気ない、もう少しじっくり予習したい、という方にはDVDをオススメ。最近ではDVDブックの形で、解説やあらすじ、作品の背景などを詳しく紹介するブックと実際の舞台のDVDがセットになったものも発売されているので、これを利用するのが簡単です。さらに、二期会ではオペラ講座を開いていますので、より深くオペラを知りたい方はぜひどうぞ。




2.劇場での予習 〜舞台を知る〜


09年10月二期会『蝶々夫人』公演プログラム 
表紙とキャストプロフィールのページ

 DVDなどで事前の予習ができなくても、まだチャンスはあります。それは、当日、劇場で売られているプログラムです。プログラムは、あらすじをはじめ、当日のキャストやスタッフの紹介、作品の詳しい解説、さらには作品や演奏者にまつわるエッセイやコラムなども掲載されている、いわばその舞台を知るためのもっとも充実したツールといえます。
 様々な記事は、そのジャンルに詳しい専門家が書いているので読み応えも充分。また、キャストの紹介を読めば、これから舞台に登場する歌手がどんな経歴で、どんな役柄を得意にしているのか、などがわかります。また、最近のオペラは演出に趣向を凝らしたものが多いのが特徴ですが、こうした「現代的演出」について、演出家自身が延べたコメントがあれば、当日の舞台を理解する大きな手助けとなるでしょう。
 プログラムはこのように、舞台にまつわる情報の宝庫。それだけに、全部読むのは結構時間がかかります。できれば少し余裕をもって劇場に行き、幕が開く前に必要な箇所だけでもじっくりと読んでおきたいものです。


 さて、次回は、舞台を観たあとの「復習」についてお話しします。どうぞお楽しみに!