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オペラを楽しむ

私とオペラ
松井咲子

オペラに対して「ストーリーが難しそう」とか「行ってみたいけど勇気が出ない」などと思っている方もいるかもしれません。正直なところ私も昔はそうでした。私が初めてオペラを観たのは小学生のとき。母に連れられて行った、モーツァルトの『魔笛』でした。大きなホールの舞台両端には電光掲示パネルが置かれていて日本語訳の字幕が流れていたのですが、文字を追うのに必死で当時の私には内容があまり理解できませんでした。しかし、それ以上に華やかな衣装や迫力あるオーケストラの生演奏、そして曲の素晴らしさに感動したのを覚えています。特に「夜の女王のアリア」は聴いた瞬間に鳥肌がたち、しばらく耳に残っていました。

私は4歳からピアノを習っていますが、普段の練習はもちろん、発表会やコンクールでもひとりで弾くことのほうが多い楽器です。しかしオペラは決してひとりでは表現しきれない壮大な世界観。私はその魅力にどんどんハマっていき、たくさんのオペラを観に行くようになりました。そして思いました、オペラを観ないなんてもったいない!と。なので、まだ観たことがない方へ私なりのオペラの楽しみ方を簡単にお伝えしたいと思います。

まず、オペラはセリフが全て歌になっています。ミュージカルや劇などはセリフを喋り、そして歌いますが、オペラの場合はどんな場面でもどんな感情でも歌で表現します。そしてその伴奏はオーケストラ。ストーリーはざっくりと喜劇と悲劇にわけることができます。恋愛ものやコメディ、家柄の揉め事など様々ですがこれは好みです。私はハッピーエンドな喜劇のほうが好きですが、オペラは悲劇のほうが多いのです。

また、お気に入りの曲を見つけてからそのオペラを観に行くという方法もあります。例えば、『トゥーランドット』の「誰も寝てはならぬ」はフィギュアスケートの荒川静香選手の演技で有名になりましたよね。その他にも『フィガロの結婚』の序曲や『アイーダ』の凱旋行進曲、『椿姫』の「乾杯の歌」など、普段の生活の中で何気なく耳にしているものが多いので、オペラは私たちにとって身近な存在なのです。

観たい演目が決まったら予めあらすじを読むのをおすすめします。すると、小学生の頃の私のように字幕を必死に読むこともなくなりますし、良いシーンを見逃さずに済みます。あとは実際に行って楽しむだけ! 初めての方は一番安い席で雰囲気を楽しむのも良いと思いますし、服装だってそこまで着飾る必要はありません。締め付けるような慣れない服を着て行くと長時間の観劇で疲れてしまうかもしれないので、ちょっとオシャレな洋服を着て気分を上げましょう。また、オペラグラスを持っていくと遠くの席でも細かい表情やきらびやかな衣装、舞台セットなども見ることができます。あとはとにかく楽しむ!浸る!音楽を浴びる!!

どうですか?思ったより気負うことなく楽しめそうですよね?そして思うはずです、もっとはやく観にいけばよかった!と。劇場への一歩をぜひ踏み出してみてください♪

松井咲子(まつい さきこ)

埼玉県出身。2015年8月にAKB48・チームA卒業。2012年に全編ピアノインストアルバム「呼吸するピアノ」でソロデビューを果たし、「デビュー作が初登場TOP10」という、女性ピアニストとしては史上初の快挙を成し遂げる。現在はタレント・ピアニストとしても活動中で、日本テレビ「読響シンフォニックライブ」では司会を務め、FM NACK5「見たい!行きたい!話したい!」やAMラジオ8局ネット「松井咲子 呼吸するクラシック」ではパーソナリティとしても活躍中。 フジテレビ「芸能界特技王決定戦 TEPPEN」では過去3回の優勝を誇り、そのピアノ演奏の実力は折り紙つきである。