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オペラを楽しむ

私とオペラ
山田 邦子

 元々クラシックが大好きで、いろんなオーケストラの演奏を聴きに行っていました。ハイテクなこの時代に、人が奏でる、何というエコロジー。その温かみの伝わる迫力の音の中にいることが好きで、自分でも合唱団を作り、仲良しの演奏家の方々と一緒に全国でチャリティーコンサートなどを展開中で、今年はハワイ公演もさせて頂き、日本から同行したファンの方や、現地の方々に応援して頂きました。チャリティーということもありますが、人と人の気持ちが音楽で通じ合うって素敵ですよね。これからもがんばって続けて行こうと思います。
 しかし、そんな私が最近になって、こんなにオペラにはまるとは。ある時、友人の演奏会に行ったら、テノール歌手の樋口達哉さんがゲスト出演されていて、至近距離の真っ正面で“生歌”を聴き、私の体のどこかの何かのスイッチが入ったのです。それは本当にバチン!と音がしたようなものすごい衝撃で、その日以来、まるで恋をしたかのように樋口さんの歌を追いかけ、あちらこちらの演奏会に出かけるようになると、役柄のお衣裳を着け、メイクをして、感情表現をするオペラの素晴らしさを知りました。面白い。ひとりで歌っている時もすごいけど、ソプラノ歌手との絡みなどはその素晴らしさについ本気になり、この2人は本当にデキているんじゃないかと嫉妬してしまう程です。古代の歌手たちもこんな風に演じていたのだろうか?観客はどんなおしゃれをして出掛けたんだろう。じゃあ、私は次は何を着て行こうかしら?公演のチケットを手にすると毎回ウキウキします。他の本物の方々にも出会い、何なんだ?この人たちは。人間だけど、喉だけじゃなく、よもや体全体が楽器のようではないか!と、どんどんオペラが好きになり、図々しくも、自分でも歌うようになりました。私の仕事はバラエティーなので、シリアスなお芝居・ハチャメチャな物まね・話芸勝負のスタンダップコメディ・司会、何でも屋です。ダンスもすれば三味線も弾きます。普段からいつも何かのお稽古をしています。ならば、オペラだってやらなくちゃ。勿論下手くそですが、高音に格闘しながら挑む私の『魔笛』や長崎弁で歌う『蝶々夫人』は、なかなかの出来です。“オーミオ・バッビーノ”も大好きです。これからもいろんな公演に出掛けて、素敵な歌を見つけ、自分のコンサートや合唱団でも歌いたいです。樋口達哉さん、二期会の皆様、そしてありがとう、オペラ。

山田 邦子(やまだ・くにこ)
1981年デビュー以後、司会・ドラマ・舞台・講演・執筆等マルチな才能を発揮。2007年、健康番組出演がきっかけで乳がん罹患を発見し、手術をする。その後はがんについての講演なども積極的に行い、また2008年にはがん撲滅を目指す芸能人チャリティー組織「スター混声合唱団」を結成し、団長を務めている。
http://www.sutakon.jp


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