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オペラを楽しむ

「オペラの楽しみ」 室田尚子

第4回「上演中の緊急事態」

 

 さあ、待ちに待ったオペラが始まりました。いったん幕が上がってしまえば、あとは夢のような時間に身を任せてしまえばよいのですが、「こんなことしていいのかな?」「これはどうしたらいいの?」という緊急事態にぶつかることがあります。特にオペラ初心者だと、どうしたらいいかわからずパニックになり、結局舞台に全然集中できなかった、ということにもなりがち。今回はそんな、上演中の緊急事態に対処する方法をお教えしましょう。

 

(1) ああ、開演に間に合わない……!
 前々回「劇場の歩き方」の回で、劇場には開場時間の少し後ぐらいに到着するのがスマート、というお話をしましたが、仕事の都合などでどうしても時間がギリギリになってしまう場合があります。一般にクラシックのコンサートは、開演後、音楽が始まってしまうと、一曲(あるいは第一楽章)が終わるまでは中に入ることができませんが、オペラの場合は、序曲や前奏曲が終わったところで中に入れて貰えることがほとんど。ただし、この時はもう会場の照明は落とされていて真っ暗なので、自分の席まで行くことはできません。後ろの場所に誘導され、第一幕が終わるまでは立ち見で観ることになります。

 

(2) トイレに行きたい!
 生理現象はガマンできませんから、途中で席を立つ他ないのですが、私が今まで行ったことのあるオペラで、途中で席を立った人を見たことは皆無。つまり、「必ず開演前にトイレは済ませておく」のが鉄則ということ。演奏の途中で席を立つのは周りの人にも迷惑になる、明らかなマナー違反です。たとえ大丈夫だと思っても、念のために、開演前、休憩時にはトイレに行っておきましょう。

 

(3) うっ…咳が出そう…!
 まずはガマン。できればその幕が終わるまではガマンしたいところですが、どうにもならないこともあります。いったん咳き込み始めたら、とにかくハンカチ(できればタオルなどの厚手のもの)を口にあてて、できるだけ音が出ないようにがんばる。また、「どうもノドがいがらっぽい」という体調の時には、事前にアメを用意しておき、ポケットなどの取り出しやすいところに入れておきましょう(カバンの中だと出すのに手間なのでNG)。そして上演中、ノドがむずむずしてきたら、咳き込む前に手早くアメを口の中に放り込む。ただし、アメの包み紙がガサガサいう音は、意外に周囲の人にはとても耳障りなもの。できれば紙の音のしにくいアメを用意しましょう。

 

(4) あっ、携帯が!
 オペラに限らず、音楽会や演劇などのホール内で携帯電話の電源を切っておくのは、もはや常識です。他の観客だけでなく、真摯に演奏しているアーティストにも大変失礼なので、「必ず携帯電話の電源を切る」ことを実践しましょう。なお、最近では、ホール自体にシールドをかけていて、電波が届かないようにしているところも多いようです。すべての劇場がそうなってくれると安心なんですが。

 

(5) ね、眠い…(汗)
 私は、コンサートはともかく(!)オペラで眠くなったことはないのですが、極端に疲れていたりする場合、思わず睡魔に襲われてしまう、ということはあり得る事態です。せっかくチケット代を払って観に来ているのにもったいないことではありますが、どうしてもガマンできなければ素直に睡魔に身を任せてしまいましょう。ただし、イビキと寝息には要注意。周りの人にはかなり迷惑。もし、自分がイビキ症だという自覚があるなら、上演中は寝ない方が身のためですね。それより何より、前の日はよく睡眠をとって、当日寝不足にならないようにするのがいちばん重要なのはいうまでもありません。

 

(6) 拍手! ブラヴォー!いつすればいいの?
 拍手は自分の感動を素直に表現するものですから、特に拍手の仕方に決まりがあるわけではありませんが、オペラの場合、歌手の聴かせどころであるアリアが終わったところでも拍手をする(もちろん、良い演奏だった場合)のが、フツウのコンサートとは違うところ。大喝采を受けて、歌手がもう一度そのアリアを歌ってくれるケースもあるので、素晴らしい演奏だと感じたら、思う存分拍手をしましょう。  一方、ブラヴォーの方は、そのタイミングやかけ方にかなりの「熟練」を要します。歌舞伎の「○○屋っ!」っていうのと同じで、素人は迂闊にやらないのが賢明かも。ちなみに、男性には「ブラーヴォ」、女性には「ブラーヴァ」、そして複数の演奏家に対しては「ブラヴィ」というのがイタリア式のかけ声です。